ニュースレター「ならこく」Vol.25 目次
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奈良教育大学 宮下学長から
- 「全体と部分」について想う
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直接に面識があるわけではないが、和田昭允先生(東京大学名誉教授。榊理事長のご友人でもあるとのこと)のお考えは、ことあるたびに私への貴重なアドバイスになっている。
「サイエンスは『全体の構造・性質は部分の相互作用が演出する』という、いわゆる要素還元論だ。だから“部分の部分”を求めて原子から素粒子に辿り着き、“部分が作る全体”を追って宇宙の果てを探る。(中略)
『全体と部分』がわれわれの日常で身近にくるのは、人間グループや機械など、何らかのシステムを創ろうとするときだ。そこでは全体の最適化に向けて、部分の最適化(満足)を図ることが最重要課題となる。(中略)
成功のコツは、全体と部分を総合して考えた計算と調整だ。全体は、部分の総てに対応している。戦略は部分を全体になじませ、部分をもり立てる。この鼓舞激励で全体と部分を、互いに助け合う発展サイクルに持ち込む。いうまでもなく、この『全体・部分最適化』の対象は政治、経済、産業、学術、教育そして地域社会、家庭、個人、のハードとソフトの両方、なんでもだ。」(平成24年2月9日付日本経済新聞夕刊「明日への話題」より)
私はこの論考を音楽科授業研究に用いてきた。楽曲を構成する「要素」(部分)と、楽曲全体の「質感」(全体)との調和を音楽学習の対象とするために。さらに音楽の場合は、部分に対しても全体に対しても、そこに人間の感性が強く関わる。その三者の繋がりを学習の対象とすることで、「人間と音楽との関係」の理解に向かわせることができる。
今、両学において研究戦略を明示しようとしている。教育大においても個々の教員がユニークで優れた研究に取り組んでいる。それらと大学全体の研究戦略との関係は、いうまでもなく対立するものではない。個人の自由な研究と研究力を、組織としての奈良教育大学の研究力強化にどう繋げ、本学の研究として社会をどう変革していくか、それを研究戦略として示したい。
例えば、産学官連携による教育研究。奈良県の中小企業からは本学に対し、社員教育や企業におけるESDについてのニーズが寄せられている。リカレント教育として個々の教員が知見を提供するだけでなく、知見を築くための研究を産学官連携で進めることは必要だろう。そのために本学内で研究チームを結成し、そこに産官も招き入れてともに課題解決に貢献していく。学校教育としてのESDも、産業界を巻き込んだ研究によって強化させていく。いずれも本学の重点研究になり得るものと考える。
和田先生は、別の論考で「二分法」や「分類」についても述べておられる。「二分(たとえば文・理、生物学・物理学)の境界線は、実は線ではなく見過ごされた沃野なのだ。それに気づいて線の中に越境すれば、新天地が待っている。」(平成24年4月26日付日本経済新聞夕刊「明日への話題」より)
全体は、異なる部分同士が結合したり越境したりして拡充し形づくられていくものではなかろうか。研究コミュニティは人間の集団であるから、異なる感性がぶつかり合って全体を創造し、その過程で個の技能も磨かれていくオーケストラに等しく、コミュニティによる研究は感動を伴う楽しいものだと思われる。
- 奈良教育大学 学長 宮下 俊也
両大学共通の取り組み
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●【B-1】なら産地学官リカレント教育プログラムシンポジウム「みんなで歩むリカレント教育~プラットフォームの力を結集して~」を開催しました。(2月7日)
- なら産地学官連携プラットフォームの取組として、『学生活動発表交流会』を開催します。
- ◆日時:3月14日(金)13:00-16:45
◆場所:奈良商工会議所大ホール
●【B-2】「NU cross」企画として、第9回研究交流会「それでも書/描いた女性たち」を開催しました。(2月14日)
●【B-3】「NU cross」企画として、第8回研究交流会「絵本の魅力の再発見」を開催しました。(2月3日)
●【B-4】インド工科大学ハイデラバード校学長の表敬訪問を受け、活発な意見交換が行われました。(2025年2月3日)
★開催案内
奈良教育大学の取り組み
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●【C-1】大学院修士課程の前川留理子さんの仮名書道作品「降り積みし」が、「第43回市展なら」にて市教育長賞を受賞しました。
- 展覧会〈アバウト・トーキン・アバウト ABOUT TALKIN’ ABOUT〉展の開催について(3/6~3/23)
- ◆日時:2025年3月6日(木)~3月23日(日)12:00~17:00(最終日は16:00まで)
◆場所:アトリエみつしま(〒603-8215京都市北区紫野下門前町44) - 2024年度 奈良教育大学美術作品展『青丹彩』を開催します(3/4~9)
- ◆日時:2025年3月4日(火)〜9日(日)10:00〜18:00(最終日は16:00まで)
◆場所:アートスペース上三条 〒630-8228奈良市上三条町4 - 大学院仮名書法演習成果発表作品展・修士課程修了制作展(仮名書道分野)を開催します(3/3~11)
- ◆日時:2025年3月3日(月)~2025年3月11日(火)
◆場所:奈良教育大学 図書館ラーニング・コモンズ前「ライぶらりギャラリー」
●【C-2】社会科教育講座の河本大地准教授が執筆した「へき地教育」に関する記事がウェブメディア「奥大和ライフジャーナル」に掲載されました。
●【C-3】本学「へき地教育・地域創生プログラム」の学生有志が、第4回「地域経済ユニットフォーラム」にて、最優秀賞と奨励賞を受賞しました。
●【C-4】井桁容子先生による講演会「今求められる保育者の専門性とは~学び意欲を育む心の育ちは乳幼児から~」を開催しました。
★開催案内
奈良女子大学の取り組み
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●【D-1】科研費等の支援を受けた前田純夫教授の研究成果「抗菌薬と嫌気条件が細菌間の遺伝子移動を促す新作用の発見」がプレスリリースされました。
- みかさプログラム:研究力向上のためのセミナー「グローバルに活躍する貴女へ ~発信力に磨きをかける~」を開催します。(3/6、3/11)
- ◆日時:2025年3月6日(木)・11日(火)13:30-15:00
◆場所:オンライン - けいはんな歴史文化共同研究所主催シンポジウム 「大和から山城へ ―『新・けいはんな風土記』によせて―」を開催します。(3/9)
- ◆日時:2025年3月9日(日)
◆場所:奈良女子大学 交流テラス(法人本部棟1階南側)
●【D-2】JSTのムーンショット型研究開発事業により支援を受けた吉本光佐教授の研究成果「寒冷環境が引き起こす高血圧の新たなメカニズムを解明」がプレスリリースされました。
●【D-3】お茶の水女子大学と国際協力・開発途上国・SDGsに関する科目の単位互換を行うための覚書を締結しました。
●【D-4】駐日マレーシア大使館参事官の表敬訪問を受け、活発な意見交換が行われました。(2025年1月20日)
●【D-5】廣岡栄子国際奨学金奨学生留学報告会を開催しました。(2025年1月21日)
●【D-6】「奈良経済同友会との交流・懇談会」を開催され、約90名が参加しました。(1月31日)
●【D-7】「宇陀松山デザインブック」が本学住環境学科 坂井研究室の協力を通じて制作され、宇陀市のHPに掲載されました。
★開催案内
- ならこくニュースレター
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企画:機構総務課 広報基金係
Tel:0742-20-3220
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