
第7回 理事長主催 学内懇談会を開催しました
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理事長主催の学内懇談会が、令和7年2月21日にオンライン配信されました。この懇談会は、奈良国立大学機構と傘下の二大学のことをざっくばらんに語り合う場として企画されたものです。
第7回となる今回は、鈴木 広光 奈良女子大学 文学部教授との懇談会が行われ、「ジェネラリストかスペシャリストか-文系の大学院進学問題を巡って-」と題し、意見交換が行われました。
-ジェネラリストかスペシャリストか-
鈴木教授から、特に文学部の学生は、ジェネラリストとして社会に出ることを望んでいるように感じており、教員としても学部の卒業論文の執筆などを通じて、課題設定、情報収集、分析、文章化といった一連のジェネラリスト的な素養が身につくように指導している。一方で、本学の大学院は、理系にあわせて、スペシャルリストの養成を目指しており、その点において、ミスマッチがあり、文系の大学院進学率の低さの一因ではないかと考えている旨の話がありました。それに対し、榊理事長からは、理系の人材育成についても、本来は、人文科学系の知識も身につけ、物事を俯瞰したり、相対的にみたり等、ジェネラリスト的な素養をもったスペシャリストであるべきであるが、学ぶことが多いため、学部段階から専門性に特化している教育を行っているように思われる。奈良女子大学においては、学部教育の充実については、国際的なレベルにひけをとらないジェネラリスト的な要素を含む内容にすることを第1目的としてほしい旨の発言がありました。
-文系の大学院進学を巡る課題について-
鈴木教授から、文系の大学院進学を巡る課題としては、ほかにも、①大学院進学後の進路、②学部生と院生の交流の場がないこと、③モデルとなるべき教員や院生が「やりがい」を提示できていないことなどがあるとの発言がありました。榊理事長からは、大学院進学により研究を深めることで、社会や自身の人生が豊かになること、大学院進学や研究を続けることは困難でありながらも「やりがい」のあること、進路についても、大学教員や研究者になるだけでなく、深く学んだのち、高校教員になったり、官公庁に勤めたりする選択肢もあり、それもまた日本の社会を豊かにすることになるといったことなど、研究を深めることによる意義を幅広い観点で、学部学生の段階から伝える必要がある旨の発言がありました。
-他大学との連携について-
鈴木教授から、現在の日本の大学においては、大学間での競争の様相となっているが、本来は、大学間で連携して、研究成果の幅を広げたり、多様な人材を育成していくべきと考えており、奈良女子大学においても、より多くの大学間との連携を検討すべきではないかとの提案があり、榊理事長からは賛同する旨の発言がありました。
この理事長主催の学内懇談会は、今後も月に一度の頻度で開催される予定になっており、次回は3月の開催を予定しています。