第4回 理事長主催 学内懇談会を開催しました

 理事長主催の学内懇談会が、令和6年11月5日(火)にオンラインで配信されました。
 この懇談会は、奈良国立大学機構と傘下の二大学のことをざっくばらんに語り合う場として企画されたものです。
 第4回となる今回は、小倉裕範 奈良女子大学 生活環境学部教授との懇談が行われ、「研究費不足、施設・設備の老朽化や不足、院生の不足、管理運営業務の過多などが日本全体で問題になっているが、研究環境をよくするためにはどうすればよいか」、「今後の生活環境学部のあり方をどのように考えるか」に関し、意見交換が行われました。

 研究環境の改善に関し、榊理事長は、自身の研究者人生を踏まえ、①国・文部科学省・日本学術振興会などに働きかける観点、②自身の属する大学・学部・学科内で改善を進める観点、③自身の研究室の状況を改善するとの観点から考えることが必要と述べました。特に、③に関しては、学生が「この研究室で研鑽を続ければ自身を高められる」と思えるよう、研究室の魅力を強めることが重要であること、②に関しては、自身の大学や学科の運営に国から交付されている交付金が、人件費と研究費にどう割り振られているかを調べ、両者の調和を図っていくことの必要性が指摘されました。特に、大学全体では、学部の壁を越えた講義の提供や共同研究を推進し、人件費を減らしながらも、教育や研究の質を高める工夫が大切であることや、大学では、学生が自発的に学びに励む風土の構築が鍵になることが述べられました。それを受け、小倉教授からは、自身も規模が小さくても、予算がなくても、魅力的な研究を行って、学生に集まってもらえることが大事と考えており、その点でヒントや知恵をいただけたらと考えている、また、学部・学科を超えた協力はもっとあって良いのではないかと考えていると述べました。一方、人件費の問題に関しては、食物栄養学科は、管理栄養士のカリキュラムの関係もあり、科目数や教員数が多くみえるかもしれないが、現時点も必要最低限の設定になっているとの説明がありました。
 続いて、小倉教授より、生活環境学部は生活に根差した研究をしており、食物生産に関しては農学分野、栄養学に関しては医学分野など、異なる分野を超えた学際的研究を行っており、多くの大学では個別に存在する分野が同一学部内にあり、奈良女子大学の魅力になるのではないかと考えているが、今後の生活環境学部のあり方について、理事長の意見をいただきたいとの依頼がありました。榊理事長は、「衣食足りて礼節を知る」という言葉があるように、生きていくうえで「食」は最重要であり、それらを様々な側面から学べる点は教育上の強みである一方で、研究面では、総合性を活かしつつ、学術の最先端を開拓する立場から切り口を鋭敏にし、存在感を出すことも重要であるとの指摘がありました。
 また、本日の対談を受け、小倉教授からは個人としては引き続き研究に取り組むとともに、学科レベルでもできることを広げていきたいと述べ、榊理事長は、生活環境学部の教育と研究が、大学の看板になるよう、今後の発展を期待していることが述べられました。

 この理事長主催の学内懇談会は、今後も月に一度の頻度で開催される予定になっており、次回は12月の開催を予定しています。