ジュリア・カセム氏

奈良国立大学機構アドバイザー J.カセム教授が「インクルーシブ・コミュニケーション・デザイン」に関し講演(12月5日)

 奈良国立大学機構では、教育・研究、国際交流、地域連携・産学連携、芸術文化などに関し、法人や大学の運営に資する助言を得るために、12名からなるアドバイザリーボードを設置し、それぞれの高い見識をもとに講演や助言を提供いただく取り組みを行っています。
 今回、ロンドン芸術大学の客員教授でありインクルーシブデザインの提唱と革新的な実践により2010年にDesign Week誌の「デザイン界で最も影響力のある50人」に選出されたご経歴を持つジュリア・カセム氏を招き、12月5日に講演会を開きました。
 講演では、日本においては年齢や身体的障害に配慮した製品デザインや建築環境のアクセシビリティの向上においてユニバーサルデザインという考え方が発展したが、ヨーロッパにおいては移民受入れやEU等地域統合のボーダレス化により文化的な多様性や差異が広がり続ける中でインクルーシブデザインという考え方が発展してきたこと、日本でも近年、多様化するニーズに対する理解が深まるにつれインクルーシブなサービスやコミュニケーションをデザインすることの重要性が認識されるようになっているという状況について解説いただきました。その中でインクルーシブデザインの考え方に基づく製品や建築物の構造的デザインの事例についても幾つか紹介があり、より多様性を尊重し内包する「インクルーシブ」な社会構造への変革にデザイン面からのアプローチが大きな役割を持っていることが理解できる興味深い講演でした。
 なお聴講者の教員からは「教員として、多様な文化背景や思考を持つ学生への授業のデザインのあり方について大変参考になった」との感想が聞かれるなど、今後の両大学の教育に影響を与える有意義な機会となりました。