ニュースレター「ならこく」Vol.24 目次


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奈良女子大学 高田学長から

日本初の南極地域観測隊女性隊長
 日本の南極観測は、1976年度以降5か年を単位に実施されてきましたが、2004年の法人化後は、国立極地研究所の中期目標・中期計画のもとで運営されるようになりました(*1)。これに併せて、南極観測事業も2010年から6か年計画として実施されています。現在は、2022年(64次隊)~2028年(69次隊越冬終了)を対象期間とした南極地域観測第Ⅹ期6か年計画に沿って実施されており、昨年(2024年)11月には、第66次南極地域観測隊が日本を出発しました。

 最新の第66次南極地域観測隊は、東京大学大気海洋研究所の原田尚美教授が初の女性隊長(兼夏隊長)として指揮を取るということで話題になっています。原田さんは、第33次隊において日本では2番目の女性隊員(夏隊員)として、また、第60次隊では初の女性副隊長(兼夏隊長)として南極観測隊に加わった経験をお持ちの方です。私は、東京にある国立極地研究所の共同研究などで少しご一緒したことがありますが、華奢な体のどこにそんなバイタリティーが、というほど、とても活発な研究活動を繰り広げていらっしゃいました。また、次の第67次南極地域観測隊では、極地研究所の江尻省准教授が、副隊長兼務で、女性として初めて越冬隊長の任に当たることが決まっています。このように、過酷とも思えるフィールド調査が不可避の南極観測事業の分野でも、近年の女性研究者、女性隊員の活躍には目を見張るものがあります。

 私が第38次南極観測隊(夏隊)の一員として南極のフィールド調査に関わったのは、1996年秋~1997年春のことでしたが、昭和基地から約500km離れた地域での2カ月半に及ぶテント生活と野外調査の結果、10kg以上、体重が減りました。この間、朝食をたっぶり食べ、昼食にはしっかりとチーズやハムとバケットサンドウィッチ中心のランチ、行動中には毎日板チョコ1枚、夕食には牛肉・豚肉等のステーキやすき焼き、焼き肉、場合によっては鍋や魚料理など、自炊ではありましたが相当量の贅沢な食を満喫していたのにもかかわらず、です。昭和基地を利用しての観測事業の場合は、もう少し過酷さの度合いが軽減されているとは思いますが、それでも、結構な肉体労働はあると思いますし、やはり精神的なストレスや、夏(12~1月)でも0℃そこそこの気温の中での野外作業などには、現在でも、それなりの厳しさが伴う活動になっていると思います。このように、近年では、従来、女性には不向き、適していない、などと思われてきた分野でも、それが単なる思い込みやいわゆるunconscious biasによるものであり、女性を遠ざけてきたことが適当であったか、ということに再考が求められる場面に遭遇することも少なくありません。

 私の研究の専門分野である地理学や地質学についてみると、日本の学会では、女性(研究者)が非常に少ないのですが、海外(とくにヨーロッパ)では、結構な割合の女性研究者が活躍しています。この差は何に起因するのだろうかと常々考えているのですが、私自身、まだ明確な結論を得るまでには至っていません。

 いずれにしても、女性がマイノリティーの領域において、それが社会的な正当性を欠く要因によってもたらされているものとして是正されてゆく傾向は、強まることはあっても、大きく後退することは無いのだろうと思います。女子学生の皆さんには、将来の可能性を胸に、女性がマイノリティーの分野にも広く目を向けて、新しい自分の道を切り拓いて進んでいただけたらと願っております。

*1:https://www.nipr.ac.jp/antarctic/aboutjare/plan.html

奈良女子大学 学長  高田 将志


 両大学共通の取り組み

●【B-1】奈良市学生プロジェクトの一環として、奈教大・奈女大が『学生のまち 奈良市の魅力発信冊子「ならキャン」』に掲載されました

●【B-2】第7回くらしものづくりカレッジ「人からスタートするプロジェクトづくり」を開催しました

●【B-3】留学生科目「日本語コミュニケーション」の受講生が附属小学校の授業に参加しました

●【B-4】国際交流イベント「餅つきをしよう!」を開催しました

●【B-5】教員研修留学生が山添小学校の国際交流の活動に参加しました

●【B-6】「日本語教育論」「教職実践演習セレクトセミナー」で「日本語指導が必要な子ども」についての合同授業を行いました





 奈良教育大学の取り組み

●【C-1】近畿ESDコンソーシアム成果発表会・実践交流会を開催:全国から391人が参加し、持続可能な社会の未来を議論しました

●【C-2】「サイエンスチームなら」科学研究実践活動発表会:県内12校が参加し、活発な議論と交流が展開されました

●【C-3】理科教育講座の石井俊行教授の著書「子どもの理解を深める理科授業 ストンと落ちる授業づくりのすすめ」が読売新聞オンラインで紹介されました

●【C-4】【卒業生の活躍】ストレングスコーチとして学校現場で活躍 山口裕士さん(保健体育専修 2021年3月卒業)

●【C-5】【在学生の活躍】「令和7年宇治市二十歳のつどい」にて文化遺産教育専修2回生の山本隆萬さんが新二十歳を代表して挨拶しました

●【C-6】【在学生の活躍】教職大学院2回生 井上岳海さんの論文が「優秀賞」に選出されました

●【C-8】「香港教育大学&奈良教育大学 夏季交流プログラム」を実施しました


★開催案内

全国ESDコンソーシアム/ステークホルダー円卓会議2025(2/22)
◆日時:2025 年 2 月 22 日(土) 9 時 30 分 ~ 17 時 00 分
◆場所:奈良教育大学 管理棟 大会議室(ハイブリッド開催 Zoomによるオンライン配信あり)
展覧会「令和6年度 文化遺産教育専修系 卒業・修了展覧会」(2/7~2/11)
◆日時:令和7年(2025年)2月7日(金)~11日(火・祝)10時~17時00分
◆場所:奈良教育大学教育資料館(奈良教育大学構内:近鉄・JR奈良駅から奈良交通市内循環バス「高畑町(奈良教育大学)」下車すぐ)
令和6年度美術教育専修卒業展覧会(2/12~16)
◆日時:2025年2月12日(水)〜16日(日)8:30〜17:00 最終日は16:00まで
◆場所:奈良カレッジズ交流テラス)
【えほんのひろば】「かずかたち絵本展」(1/31-2/14)
◆日時:2025年1月31日(金)~2月14日(金)
◆場所:奈良教育大学図書館・えほんのひろば




 奈良女子大学の取り組み

●【D-1】令和8年4月 大学院人間文化総合科学研究科 博士前期課程 工学専攻(仮称)の新規設置(予定)について

●【D-2】The Journal of Nutritionにおいて、本学研究院生活環境科学系 髙地教授の論文がオンライン先行公開されました

●【D-3】【プレスリリース】全固体フッ化物イオン二次電池用の超高容量正極材料の開発 ー分子状窒素で高エネルギー密度を実現ー

●【D-4】研究推進に関するラウンドミーティング等を開催:学術研究の国際化と博士人材支援を議論しました

●【D-5】「アカデミックWeek2024」を開催:異分野研究の交流を促進し、教員と学生が活発な対話を展開しました

●【D-6】本学STEAM・融合教育開発機構の雲島専任講師の共著が出版されました

●【D-7】第7回 学長主催 学内研究交流・懇談会を開催:レーザー分光法の最前線を探る近藤准教授の研究紹介と活発な意見交換を実施しました

●【D-8】ジェンダー研究の新たな視点を探る~第19回女性史学賞授与式を実施:神戸女学院大学の田村美由紀氏が受賞~

●【D-9】2024年度第2回ジェンダーギャップを越えるSTEAM教育研究会を開催しました

●【D-10】附属中等教育学校の産学連携の取組が、文科省の探究好事例紹介サイト(マナビカエル)に取りあげられました


★開催案内

第23回社会連携フォーラム「感性を探究して広がる世界」(2月14日)
◆日時:2025年2月14日(金)
◆場所:佐保会館2階




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企画:機構総務課 広報基金係
Tel:0742-20-3220
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