ニュースレター「ならこく」Vol.22 目次
▼クリックするとジャンプします
奈良教育大学 宮下学長から
- 転調と大学改革
-
「転調」は音楽用語です。曲の途中で調性が変わることを言います。例えば長調から短調へ、またその逆も、あるいは同じ長調でもハ長調からト長調のように変わることも転調です。
ところで、私は小学校の時に、「長調は明るくて楽しい感じ」「短調は暗くて悲しい感じ」と習いました。しかし、もし「短調は暗くて悲しい感じ」として括るなら、子どもが大好きな《まーちんぐまーち》(阪田寛夫作詩・服部公一作曲)はすべての子どもが「悲しい」と感じるのでしょうか? 中日ドラゴンズの応援歌《燃えよドラゴンズ》は負けたときに歌う曲でしょうか?
話がそれました。調と調の関係は、近い関係にある「近親調」と、遠い関係にある「遠隔調」があります。たとえばハ長調とイ短調の関係は近親調、ハ長調と変ロ長調の関係は遠隔調です。近親調への転調は比較的自然な感じであるのに対し、遠隔調へ転調するとかなり大胆に聞こえます。
ショパン作曲の《ノクターン》作品37‐2は、目まぐるしく縦横無尽に転調を繰り返し、時には1小節ごとに遠隔調への転調が続いていきます。しかもそれらが見事で美しい。
https://www.youtube.com/watch?v=HB0iKBB-BOk
先日亡くなった谷川俊太郎氏の詩《生きる》は、三善晃氏が作曲して珠玉の合唱曲となっていますが、冒頭から一貫して続くハ短調の中で、一瞬長調に転調するところがあります。『いまぶらんこがゆれているということ』の部分です。その直前の『いまどこかで兵士が傷つくということ』までの緊張感からふわっと解放されます。本当に名曲中の名曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=tXCRpzfe37w
私はピアノによって即興的に転調を作り始めると、時を忘れます。作曲において転調させるには、作曲者にとって転調させなければならない「意味」と「必然性」があるものと思われます。また、転調を完成させる理論的なルールもあります(ルールに沿わず一気に別の調に飛ぶこともありますが、それにもまた「意味」があり、そうさせる「必然性」があるはずです)。「表現したいもの」にも関わりますが、いかに美しく、理屈っぽくならず、そして楽曲全体の統一感を保ちながら変化や発展を実現させていくかが重要です。転調は、変化をつけることにより、演奏する人や鑑賞する人に感動をもたらすものです。策に溺れたり奇を衒ったり(悪い意味で)して転調させると、不自然に聞こえるばかりでなく、説得性を失います。また、転調とは言えないまでも、一瞬別の調の和音を借りてきて変化をつけることもあります(「借用和音」といいます)。これもまたうまく使うと「この和音にグッと来た」という感動を与えることができます。
転調は、大学改革と似ているな、と思う時があります。国立大学の今は、近親調ばかりでなく、遠隔調への転調も強く求められている。財政的な立て直しを図る経営改革であっても、改革の途中に「暗くて悲しい感じ」になったとしても、最後は美しく、皆が喜び合えるハーモニーとして仕上がれば、と思うところです。
奈良教育大学長 宮下 俊也

両大学共通の取り組み
-
●【B-1 】第5回くらしものづくりカレッジ「悩みからつくりだす次の時代~視点を変えながらみえてきた家業の可能性と未来の地場産業~」を開催(11月15日)
- 「起業相談窓口オープニングイベント」(12月9日~)
- 場所:奈良女子大学 他
日時:2024年12月9日~ - 第6回くらしものづくりカレッジ「革からみるものづくり~作り手と使い手からうまれるグローブの話~」(12月19日)
- 場所:奈良カレッジズ交流テラス
日時:2024年12月19日 17:00 ~ 18:30 - 総合知育成コンクール“H2O”
- 【作品応募期限】
令和7年1月14日(火)正午(作品募集中)
作品の形式は不問(お題に対する論考、エッセイ、小説等文章表現のものであればOK)
【コンクールイベント】
日時:令和7年1月16 日(木)13:15~16:00
場所:奈良国立大学機構本部敷地内 コラボレーションセンター3階 Z306
主催:連携教育開発センター
●【B-2 】留学生と国内学生が和歌山市学習旅行に行きました(2024年11月2日)
●【B-3 】留学生実地見学旅行(湯浅と稲むらの館in和歌山)を行いました(2024年11月23日)
●【B-4 】「茶道教室」を開催(2024年11月20日)
★開催案内
奈良教育大学の取り組み
-
●【C-1】教職開発講座の小﨑 誠二准教授・北川 剛司准教授とエプソン販売株式会社との共同研究のレポートを発行
- 2024年度 近畿ESDコンソーシアム成果発表会・実践交流会
- 場所:奈良教育大学 大会議室(管理棟2階)ESD・SDGs センター多目的ホール
日時:2025年1月12日(日)、1月13日(月・祝) - 音楽教育専修定期演奏会(12/14)
- 場所:奈良教育大学 講堂
日時:2024年12月14日(土) 13時30分~
●【C-2】令和6年度学生広報スタッフ任命式を開催(10/11)
●【C-3】環境省主催の「環境教育・ESD実践動画100選」に附属中学校の「文化祭から附中アースディへ」が選定
●【C-4】本学名誉教授の山邊信一氏が「瑞宝中綬章」、ESD・SDGsセンター研究部員の安田昌則氏が「瑞宝双光章」を受章
●【C-5】なっきょん‘s caféを実施(2024年11月13日)
●【C-6】竹内研究室の4回生が曽爾村立曽爾小中学校で図画工作科の授業実践を行いました
●【C-7】理科教育講座の石田正樹教授が日本原生生物学会賞を受賞されました
★開催案内
奈良女子大学の取り組み
-
●【D-1 】【秋の叙勲】久米健次名誉教授が教育研究功労として瑞宝中綬章を受章
- 国際シンポジウム「Covid-19の影響とジェンダーをめぐる問題」("Covid-19 and Gender")(12月21日開催)
- 場所:オンライン
日時:12月21日(土) 午後3時00分~午後5時30分 - 2024年度第2回ジェンダーギャップを越えるSTEAM・教育研究会(令和6年12月15日(日))
- 場所: 奈良女子大学 S棟ラウンジ
日時:2024年 12 月 15 日(日)11:00-15:10 - JAXA講演会「失敗からの連続成功へ~新型H3ロケット打上げの最前線」(12月6日)
- 場所:奈良女子大学G棟3階 G302教室
日時:2024年12月6日(金) 16:20~17:50 - 「三郷町×大和・紀伊半島学研究所 連携シンポジウム」(12月7日)
- 場所:三郷町文化センター文化ホール
日時:2024年12月7日(土) 13:00~
●【D-2 】株式会社アカリクと連携と協力に関する協定を締結
●【D-3 】本学卒業生の稲葉カヨ氏が文化功労者に選定
●【D-4 】本学在学生の活躍―高校に出張授業に行ってきました―
★開催案内
- ならこくニュースレター
-
企画:機構総務課 広報基金係
Tel:0742-20-3220
バックナンバーはこちらよりご覧いただけます。
また、学内掲示板以外のメールでの配信をさせていただいている方で、配信停止をご希望の方は、お手数ですが、somu02★jimu.nara-wu.ac.jpまで、その旨お知らせください。(★を@に変更して送信してください)