「奈良から世界へ―ネイチャーポジティブの輪(和)」第1回シンポジウムを開催しました(2月11日)
2026年2月11日、奈良女子大学講堂にて、なら産地学官連携プラットフォームのタスクフォースの活動として、「奈良から世界へネイチャーポジティブの輪(和)第1回シンポジウム」を開催しました 。当日は県内外から約250名が参加し、パネル展示やタスクフォースメンバーの健一自然農園の茶葉を用いた抹茶ラテの試飲なども行われました。
ネイチャ―ポジティブ(自然再興)とは、生物多様性の損失を止め、2030年までに自然を回復軌道へ乗せ、2050年までに完全な回復を目指す国際目標で、自然と共生しながら地域の価値を高める考え方です。
本タスクフォースは、多様な企業・自治体・教育機関・団体・個人などが密接に連携して、ネイチャーポジティブの方向に沿った地域振興や産業振興を進めるために発足しました。本シンポジウムでは、農業・林業・観光・教育・まちづくりなど多分野の実践や視点を共有し、 奈良から世界へとつながる持続可能な未来について議論を深めました。
■シンポジウムの幕開け:奈良から広がる共創の形
冒頭、大和リース株式会社の池端氏より、本シンポジウム開催の経緯が説明されました 。大和ハウスグループの共創施設「コトクリエ」を拠点とした生き物観察や勉強会が、やがて大きな「ネイチャーポジティブの輪」へと発展し、行政や市民、企業を巻き込んだ今回の開催に結びついたことが報告されました 。
基調講演では、東京大学大学院の香坂玲教授が登壇 し、COP15等の国際的な動向から、伊賀や金沢での地域実践例まで、多角的な視点で生物多様性の現在地を解説されました 。香坂教授は、在来の農林業や大和野菜といった「地域固有の資源」を活かすことこそが、自然保全と地域経済を両立させる「総合的な価値」を生むと強調されました 。
■多様な主体による「1分プレゼン」と企業の実践
続く活動紹介では、「ネイチャーポジティブ奈良の輪(和)」に集う多様なメンバー24名が登壇し、自身の活動について1分間のプレゼンテーションを行いました 。それぞれの立場から語られる熱意あふれる活動紹介は、奈良の多様な豊かさを象徴する時間となりました。
また、大和ハウス工業株式会社の西部洋晴氏からは、建設業が生物多様性に与える影響と、2055年を見据えた「ゼロ負荷ビジョン」について発表がありました 。都市部での在来種による緑化が、実際にツバメなどの希少種の飛来を促すというデータは、企業活動がネイチャーポジティブに貢献できる具体的な可能性を示しました 。
■対話から見えた「正解のない問い」への挑戦
後半のパネルディスカッションでは、農業・林業・アントレプレナー教育の専門家が登壇し、「正解のない世界で試行錯誤し続ける姿勢」について議論が深まりました 。生物多様性の保全とは、単に自然を守ることだけではなく、地域住民との関係性を築き、失敗を恐れずに現場で調整し続ける「人間同士の営み」そのものであるという指摘がなされました 。
■結びに:奈良の「わ」を次世代へ
総括として、奈良教育大学の河野晋也准教授より、ネイチャーポジティブは「意識の高い人」だけの活動ではなく、誰もが日常生活の中で取り組むべきテーマであることが語られました 。
最後に、池端氏から「奈良の“わ(和・環・輪)”を広げる活動を継続していく」との力強い決意が述べられ、盛況のうちに幕を閉じました 。
本プラットフォームは、今後も産地学官の連携を深め、奈良から世界へ向けてネイチャーポジティブのメッセージを発信し続けてまいります。






